なぜ「羊羹」というのでしょうか?
羊羹は羊の羹(あつもの)、つまり羊肉の汁物を意味します。ルーツは中国にあり、日本へは、鎌倉~室町時代に中国に留学した禅僧により、点心(てんじん・食間にたべる小食)の一つとして伝えられました。禅僧は宗教上、肉食を禁じられていたため、小豆や葛粉、小麦粉を用い、羊羹の見立て料理を作ったと考えられます。当時の羊羹は今の蒸羊羹に近く、室町時代以降には寺院以外にも、武家の饗応(きょうおう)料理や茶会でも用いられ、次第に甘味もついて、菓子としても供されるようになりました。江戸時代前半頃までは蒸羊羹が主流でしたが、1700年半ば以降に、江戸で寒天を使った水羊羹や煉羊羹が工夫されて各地に広まりました。やがて羊羹といえば煉羊羹を指すようになり、今日に至っております。