「熨斗(のし)」とは何ですか?
日本の贈り物のルーツは、神様にささげ物として新鮮な肴(魚介類など)を供えることにあったようで、供物には酒に生臭物(魚鳥や獣類の肉の類)を添えていました。特に、海の幸の代表である「あわび」は貴重品として扱われてきましたが、しだいにあわびの肉を薄くそぎ、火のし(※)を使って平らに伸ばし、乾かしたものが代用品として使われるようになりました。これが「熨斗あわび」です。広く長く伸ばすことから「家運伸長」「延命長寿」につながる縁起の良いものとされ、慶事に用いられました。反対に、「引き伸ばす」と「生臭物を忌み嫌う」ことから、弔事には一切使いません。なお、とらやで使用している「輪のし」は、紅白5本蝶結びを略式化したものです。
※ 火のし=底のなめらかな金属製の器具で、中に炭火を入れ底を布等に押しあて、その熱気でしわをのばすこと。