ご進物様式
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「熨斗(のし)」とは何ですか?
日本の贈り物のルーツは、神様にささげ物として新鮮な肴(魚介類など)を供えることにあったようで、供物には酒に生臭物(魚鳥や獣類の肉の類)を添えていました。特に、海の幸の代表である「あわび」は貴重品として扱われてきましたが、しだいにあわびの肉を薄くそぎ、火のし(※)を使って平らに伸ばし、乾かしたものが代用品として使われるようになりました。これが「熨斗あわび」です。広く長く伸ばすことから「家運伸長」「延命長寿」につながる縁起の良いものとされ、慶事に用いられました。反対に、「引き伸ばす」と「生臭物を忌み嫌う」ことから、弔事には一切使いません。なお、とらやで使用している「輪のし」は、紅白5本蝶結びを略式化したものです。
※ 火のし=底のなめらかな金属製の器具で、中に炭火を入れ底を布等に押しあて、その熱気でしわをのばすこと。
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「水引(みずひき)」とは何ですか?
漉き上がった和紙を細く切って、縒ったもの(こより)に水糊を引いて乾かし固めたもので、本来の目的は、贈り物や金包みをしっかりと結びとめておくことでした。現在では、時代とともに洗練され、一般的に5本を一束とし、慶事に紅白などの水引、弔事には黒白(関西は黄白)などの水引を使用するようになりました(色の濃い方が右側)。また結び方も、結婚や病気、弔事など、繰り返しを避ける場合は結び切、何度繰り返しても良い慶事は蝶結び(花結び)となっております。
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「掛紙」とは何ですか?
本来は、贈り物を保護し、包む白い紙「奉書紙(ほうしょがみ)」を指しました。現在では、その多くに熨斗や水引 が印刷されています。熨斗が付いたもの(熨斗紙)、熨斗がなく水引だけが印刷されたもの、熨斗と水引ともに印刷されていないものがあり、3つを総称して「掛紙」と呼んでおります。なお、とらやで使用している「虎掛(とらかけ)」は、高級感と付加価値を付けるためのものであり、熨斗や水引の意味はありません。基本的に、印籠杉箱などに使用する「掛紙」です。
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弔事用の掛紙(水引)は、なぜ「黄白」なのですか?
とらやは室町時代後期に京都で創業しましたため、愛知県内の一部を除いた多くの店舗では、今でも京都に倣って「黄白」(古来の方式)を使用しております。
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輪のしと掛紙を使用する商品の違いは何ですか?
輪のしは、紅白5本蝶結びを略式化したもので「棹物の羊羹のみの詰合せ」に、掛紙は全ての商品に使用しております。